Story
目が眩むようなあの夏、
切なくも美しい物語。
仏・マルセイユの自宅で回想録を執筆しているガルー。かつて外国人部隊所属の上級曹長だった彼は、アフリカのジブチに駐留していた。暑く乾いた土地で過ごすなか、いつしかガルーは上官であるフォレスティエに憧れともつかぬ思いを抱いていく。そこへ新兵のサンタンが部隊へやってくる。サンタンはその社交的な性格でたちまち人気者となり、ガルーは彼に対して嫉妬と羨望の入り混じった感情を募らせ、やがて彼を破滅させたいと願うように。ある時、部隊内のトラブルの原因を作ったサンタンに、遠方から一人で歩いて帰隊するように命じたガルーだったが、サンタンが途中で行方不明となる。ガルーはその責任を負わされ、本国へ送還されたうえで軍法会議にかけられてしまう…。
Comment
学生時代の私に最も大きなインパクトを与えた映画。
美しくてエモーショナル。現実離れしていながら、深く胸を打たれる。空間における身体のあり方──ダンスの要素にも心惹かれたのだと思う。たとえばヌーヴェルヴァーグの映画は大好きだけど、どうしても歴史のように感じてしまう一方で、『美しき仕事』は「映画を作っている人が同時代にもたしかにいるんだ」と実感させてくれた。
グレタ・ガーヴィグ
(映画監督)クレールとは37年もの仲だ。つまり、我々は年老いた──若者たちよ、時が流れるのは早い。 ただ、年を重ねることの良さもある。彼女のとんでもなく美しい映画を何本も観てこられたのだから。
ジム・ジャームッシュ
(映画監督)この映画の持つ抽象性、クレール・ドゥニの自由さ、そして私たち全員がこのプロジェクトに賭した信念…なにをやってもいいのだと思えた。あらゆることに挑戦しようと思える作品だった。
アニエス・ゴダール
(撮影監督)『意志の勝利』を撮り、褐色の肉体を祝い、深海の極彩色に潜った、レニ・リーフェンシュタールの、いかがわしい問いが沸き立つ。
五所純子
(文筆家)目的も意味も生産性も欠いた映画の純粋運動の祭典。あくまでも効率化を目指す現代社会のシステムに対して静かに、そして粘り強く抵抗し別の道を探すめまいのようなクレール・ドゥニの映画。脳はひたすら覚醒するばかりである。
樋口泰人
(boid主宰・映画評論家)物語を「読み解く」よりも「感じる」ように私たちを誘う『美しき仕事』は、その大胆な放縦と優雅な自由さによって新鮮な傑作であり続ける。親密さを渇望すると同時に親密さに抵抗しようとする心についての、映画史上もっとも切実で独創的な、まるで瞑想のような作品。
BFI
(英国映画協会)ラストスーンは純粋な喜びに溢れている。90分間の緊張の果ての、言葉のない説明だ。このシーンの影響は、他の作品に現在多く見受けられ、そしてインターネットに拡散されている。数十年経った今、改めてこの作品が評価されているのは、若い世代が彼らのスクリーン画面を通して、あの忘れがたいダンスシーンを偶然に、もしくは再訪した結果ではないかと思う。
Simran Hans
(Sight & Sound)魅惑的な蜃気楼のよう
Jonathan Rosenbaum
切なく美しい
Entertainment Weekly
目が離せない
The New York Times